水上のパッサカリア

水上のパッサカリア

読了。
第十回日本ミステリー文学大賞新人賞とのことで読んでみました。


素直な感想は
「文章量が多いわりにはなんだか質感が薄い」
ってところでしょうか。


なんだか虚構の上で虚構を演じてその虚構に酔っているような。
そんな印象を受けるのですよねー。


登場人物に関して、かなりの量の記述があり、詳細なところまで書き込んでいるんですが、
それでもなお、「人」という印象ではなく、あくまでも「紙の上で作られた人」という印象を受けてしまうのですよ。


なんででしょうね?
自分はシロウトなのでよくわかりませんでしたが、そんな印象を受けました。


話自体はハードボイルド調。
テレビドラマでよくあるような、そんな筋書き。
映像化したらまぁそれなりにいいんじゃないかと思う。
(ただ、今時のハードボイルドというよりも昭和の香りを引きずっているような印象もあり)
で、そのハードボイルド調ってのも著者さんが「かっこいーだろー」って感じるものを見せられているだけのようで何だかなぁという感じで。


でもこの著者さん、新人さんなんですよね?
そう考えると立派なものだとは思うのですよね。


しかし、世間一般の本と比較してしまうと並の本、という評価にならざるをえないのかもしれません。


今後に期待ということで。